【FDA Form483】根本原因の調査~ヒューマンエラーでは片付けられない~

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2025-01-17

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2024年9月から10月にかけて、FDAはQuVa Pharma社の製造施設を査察し、そのForm 483が公開されました。今回のObservationでは、様々な不備が見出されていますが、共通しているのは、発生事象に対する原因の調査が不十分であるとのことのようです。

Observation 1:無菌製剤における微生物汚染(microbial contamination)防止手順の不徹底
製造エリア内で使用される消毒剤(disinfectant)の接触時間(contact time)が規定より短かったり、原因調査や科学的根拠の提示が不十分であると指摘されています。特にfingertip testingで検出された微生物の原因を「ヒューマンエラー」のみとして片付け、具体的な再発防止策が限定的だった点が問題視されました。

Observation 2:苦情対応時の調査不足
クレーム報告書に調査結果の詳細や根拠となるデータが十分に記載されておらず、見解の裏付けが不明瞭とされました。たとえば有効成分含量が期待値を満たさないとの指摘に対し、質量分析(mass spectrometry)で痕跡量(trace amounts)を確認したにもかかわらず、定量的なデータが示されていないのが問題となっています。

Observation 3:品質部門(QU)の責務未履行
規格外試験(out-of-specification, OOS)や逸脱発生時に十分な原因究明と是正措置が実施されていないと指摘されました。たとえば二重投薬(double dosage)が起こった事例では、なぜ作業者が重複して添加したのか、プロセス全体を見直すことなく「教育の徹底」にとどまっていた点が問題です。

Observation 4:工程管理手順の不備
シリンジ破損や漏れが報告されたにもかかわらず、包装や輸送バリデーションの検証範囲が限定的でした。特に3mL以外の大きな容量のシリンジに対する梱包方法や緩衝材の評価が行われておらず、適切な科学的根拠に基づく検証が不足している点が問題視されています。

詳細は、当該Form483を参照ください。
https://www.fda.gov/media/185187/download

(GMP Meister編集部)