治験製品GCTPの通知は国内にあるのか?

Date

2025-01-27

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製造販売承認後の医薬品はGMP、再生医療等製品はGCTPの各省令下で、適正な製造管理及び品質管理の方法を採ることになっています。臨床試験においては、医薬品の場合はGCP省令にぶら下がる治験薬GMP(薬食発第0709002号)に準ずるわけですが、再生医療等製品はどれに基づくでしょうか。

再生医療等製品のGCP省令に相当するのは、再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令(厚生労働省令第八十九号)で、その第25条には、適切な製造管理及び品質管理を求めています。また、「再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて(薬生機審発0730第1号)でも同様の記載があるわけですが、いわゆる治験製品GCTPに相当する通知類は、現時点では存在しません。

この状況を鑑みて、厚生労働科学研究「GMP、QMS及びGCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究」として、令和3年度の成果に治験製品GCTP案を報告しています。その際にQ&Aも作成し、同時に添付しています。筆者は、PMDA所属の頃にこの研究班に参加し、策定に関わりました。

これらは、その後、研究代表者から監麻課に提出されていますが、現時点では通知としての発出はなく、発出の見込みの情報もない状況です。当局では、運用上治験薬GMPを参考として、再生医療等製品特有の問題があれば、個別に判断していくものとなります。

参考までに、厚生労働科学班の再生関連の報告書のリンクを掲載します。

執筆者

寶田 哲仁 (たからだ てつひと)

現職:株式会社ファーマプランニング シニアコンサルタント


1983年 持田製薬株式会社入社

27年間品質保証業務を経験、この間、製造管理者・品質保証責任者等経験

2016年独立行政法人医薬品医療機器総合機構

GMP・GCTP調査(シニア調査員等)の他、アジアトレーニングセンターにて東南アジア諸国等の査察官指導体制の確立及び運用に関わる

2021年 学校法人東京理科大学研究推進機構総合研究院究

ヒト細胞加工製品のQbDアプローチ関連の研究支援の他、知識管理・品質文化に関する研究

2023年 現職にて、GMP・GCTPコンサルティング(PMDA/FDA対応等)


過去、日本製薬工業協会(JPMA)品質委員会GMP部会委員、ICHでJPMAの専門家として Q7、Q8R、Q9、Q10のガイドライン/Q&Aの作成、PIC/S WGにてAnnex 2A作成、厚生労働科学研究等でGMP省令改正案、GMP監査マニュアル等の作成に関わる。

 現在、継続して、国立保健医療科学院医薬品医療機器の品質確保に関する研修で講師の一人として都道府県の薬事監視員教育に関わる。公益財団法人神戸医療産業都市推進機構外部アドバイザー(GCTP関連)