WHO、新ドラフト「連続製造における考慮点」ガイドライン案を発表

Date

2025-02-07

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内容

2025年1月、世界保健機関(WHO)は、医薬品製造の革新を目指す新たなドラフト作業文書「WHO Points to consider in continuous manufacturing of pharmaceutical products」(作業文書番号 QAS/24.957)を発表しました。この文書は、従来のバッチ方式による製造プロセスから、連続製造(Continuous Manufacturing: CM)への転換を検討する際の基本的な指針と考慮事項を提示するものです。

連続製造への移行を支援するための包括的ガイドライン

連続製造は、従来のバッチ製造に比べ、製造効率の向上、リアルタイムでの品質管理、作業者の安全性の向上など、さまざまなメリットが期待されています。実際、石油精製、金属精錬、化学品製造、さらには食品・飲料業界など、他産業では既に長年活用されている手法です。今回のWHOドラフト文書は、こうした他分野の知見を取り入れながら、医薬品製造における連続製造の利点、直面する技術的・運用上の課題、そしてそれに対するリスク管理や制御戦略など、重要なポイントを幅広く網羅しています。

主な内容

  • 導入と背景
    従来のバッチ方式との比較、連続製造の基本概念、及び医薬品製造における応用可能性について詳述しています。
  • 利点と課題
    CMの採用により、短時間での大量生産、設備のフルキャパシティ利用、人的エラーの削減、ダウンタイムの短縮などが期待できる一方、技術的な習熟や新設備の導入、規制対応などの課題にも触れています。
  • リスク管理と制御戦略
    プロセスの各段階でのリスク評価、工程内の品質管理、プロセスアナリティカルテクノロジー(PAT)の活用、及びリアルタイムリリース試験(RTRT)など、CM特有の管理手法を解説しています。
  • プロセスダイナミクスとコンピュータシステム
    プロセス変動の解析、センサー技術、人工知能(AI)や産業用IoT(IIoT)を用いたモニタリングとデータ管理の役割についても詳細に説明しています。
  • 検証・バリデーションおよび安定性試験
    CMプロセスにおける製品品質の一貫性を保証するための検証手法や、バッチごとの変動への対応策についても触れられています。