FDA情報:ニトロソアミン不純物に対する発がん性の強度分類への取組み

Date

2025-02-07

Author
Category
Tags

内容

FDAは、2025年1月にニトロソアミン不純物に対する発がん性の強度分類へのアプローチに関する研究成果(題名以下)を掲載しました(2025/1/10付け)。

“Determining Recommended Acceptable Intake Limits for N-nitrosamine Impurities in Pharmaceuticals: Development and Application of the Carcinogenic Potency Categorization Approach”

2018年6月以前は、NDMAやNDEA(発がん性のあるニトロソアミン類)は、サルタン系医薬品の不純物として特定されておらず、通常の試験では検出されないという経緯がありました。世界的に問題提起されてからは、各極で分析方法の開発を含めた管理がさけばれてきたところです(以下参考)。

研究では、81種類のニトロソアミンを対象に、発がん性を5つの強度カテゴリーに分類し、それぞれのカテゴリーに対応する許容摂取量を設定しています(対象とするニトロソアミンは、N-ニトロソ基が炭素原子と直接結合している化合物に限定)。

強度のスコアは、以下の式で求めています。
強度スコア=α-水素スコア+非活性化特性スコア+活性化特性スコア
強度スコア:発がん性の強さを示す指標で、値が高いほど発がん性が低い
α-水素スコア:N-ニトロソ基の両側のα-水素の数と配置に基づくスコア
非活性化特性スコア:発がん性を低減させる構造的特徴に基づくスコア
活性化特性スコア:発がん性を高める構造的特徴に基づくスコア

それぞれの具体的な特性とスコアは、ウェブサイトの中盤に表として定義されています。

CDERはこの研究を進めることで、ニトロソアミンの推奨される許容摂取量の特定を支援する意向であることを述べています。

参考資料

執筆者

寶田 哲仁 (たからだ てつひと)

現職:株式会社ファーマプランニング シニアコンサルタント


1983年 持田製薬株式会社入社

27年間品質保証業務を経験、この間、製造管理者・品質保証責任者等経験

2016年独立行政法人医薬品医療機器総合機構

GMP・GCTP調査(シニア調査員等)の他、アジアトレーニングセンターにて東南アジア諸国等の査察官指導体制の確立及び運用に関わる

2021年 学校法人東京理科大学研究推進機構総合研究院究

ヒト細胞加工製品のQbDアプローチ関連の研究支援の他、知識管理・品質文化に関する研究

2023年 現職にて、GMP・GCTPコンサルティング(PMDA/FDA対応等)


過去、日本製薬工業協会(JPMA)品質委員会GMP部会委員、ICHでJPMAの専門家として Q7、Q8R、Q9、Q10のガイドライン/Q&Aの作成、PIC/S WGにてAnnex 2A作成、厚生労働科学研究等でGMP省令改正案、GMP監査マニュアル等の作成に関わる。

 現在、継続して、国立保健医療科学院医薬品医療機器の品質確保に関する研修で講師の一人として都道府県の薬事監視員教育に関わる。公益財団法人神戸医療産業都市推進機構外部アドバイザー(GCTP関連)