【FDA Form483】無菌環境の検証や維持の不足

Date

2025-03-03

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内容

先日、米国食品医薬品局(FDA)がAdvanced Nutriceuticals, LLCの施設に対して実施した査察の報告書(Form483)が公開されました。以下、各観察事項を解説します。

1. 培地充填試験の不足

検査報告書では、無菌製造工程のシミュレーションとして実施される培地充填試験が、最悪条件下での実際の運用状況を十分に再現していない点が指摘されました。

  • 技術者や薬剤師は、通常のIVバッグ製造の実際のボリュームを反映していない条件下でメディアフィルを実施。
  • 結果として、潜在的なリスクの検出や実際の無菌性保持が十分に評価されなかった可能性があります。

2. ISO 5区域の環境管理の不備

ISO 5に分類される無菌エリア(ラミナエアフローホード:LAFH)が、非分類区域内に設置されていることが問題視されました。

  • 設備自体はISO 5基準を満たすものの、その設置環境が適切に管理されておらず、クリーンエリアとしての信頼性に疑問が生じる状態です。

3. 虫の痕跡

製造エリアの周辺で、死骸となった昆虫や、実際に発見されたクモの存在が確認されました。

  • 無菌室近傍の生物学的安全キャビネット(BSC)内に、死んだ蚊などの昆虫が見受けられたほか、非無菌エリアで生きたクモも確認。

4. スポリサイド剤の使用頻度不足

施設内の清掃工程において、消毒剤の使用が不十分であることも指摘されました。

  • 特に、ISO 5エリアでの清掃時に消毒剤が適切に使用されておらず、環境中の真菌やカビの発生が確認された環境サンプリング結果も相まって、徹底した消毒が求められます。

5. 製造エリアおよび周辺の汚染

検査中、製造エリア内部および隣接エリアにおいて、目視で確認できる汚染の痕跡が複数見受けられました。

  • HEPAフィルター内部に黄色い汚染物質が付着していたこと、また供給保管用のキャビネットが清掃後も汚れが残っていた事例が報告されています。

6. 供給物品の消毒不足

低品質エリアから高品質エリアへの移動時に、シリンジや針などの供給物品の消毒が徹底されていなかった点も明らかになりました。

  • 消毒工程の抜け漏れが、無菌環境を汚染する可能性があります。

7. 人員の動きによる空気流動の乱れ

製造工程中に、作業員が無菌エリアで急いで移動することで、一方向性エアフローが乱される事例が観察されました。

  • 適切な作業動作が行われなかったことにより、無菌環境を維持するためのエアフローが妨げられます。

8. 非無菌の清掃用品の使用

ISO 5エリアにおいて、無菌が保証されていない清掃用具(ワイパー、モップ)が使用されている事例が確認されました。

  • 使用する清掃用品の無菌性が証明されていないため、逆に汚染を招く恐れがあります。

9. 清掃が困難な設備・表面の存在

製造エリア内には、清掃が難しい、または多孔質で微粒子が発生しやすい設備や表面が散見され、これらが汚染源となっている可能性が指摘されました。

  • 不明な粉塵が計量機器やBSC内部に確認されるなど、定期的な点検と対策が必要です。

10. 低品質空気への製品露出

無菌エリアに持ち込まれるはずの材料が、ISO 5よりも低い品質の空気にさらされていた事例も報告されました。

  • 特に、無菌ワイプが開放状態で放置されていた点は不適切とされました。

なお、翻訳は正確でない可能性があります。正確な詳細情報は原文をご参照ください。

https://www.fda.gov/media/185235/download