EU GMP Annex 11の改訂について

Date

2025-06-09

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PIC/Sの公式ウェブサイトには、EU GMP Annex 11の改訂についての方針書(2022年9月付け)が掲載されています。Annex 11はComputerised systemsで、CSVも含まれています。筆者は適宜Efpiaの委員と情報交換していますが、データの信頼性についても大きく取り上げられるという情報を得たので、改めてこの方針書の内容から新規項目に焦点を当て紹介します。データの信頼性に関わる主な改訂としては、以下等があります。

  • Data in motion(ネットワークを介して移動中のデータ)及びdata at rest(保存中)それぞれに要件を新規追加。また、手動より自動化された制御を推奨。
  • デジタルトランスフォーメーション(DX)等の新技術に対する規制要件の新設。
  • AIやML(機械学習)の活用に関する規制の明確化。先ずは、これらをテストするために使用されるデータの信頼性やテスト結果要件にフォーカス。
  • クラウドサービスなどに対する要件(バリデーションや運用関連)の新設。
  • 監査証跡に関する要求の厳格化。

この方針書に提案されている日程では、2026年6月にECにより文書化(リリース)され、同年9月にPIC/Sに採択される予定となっています。

https://picscheme.org/docview/4967

執筆者

寶田 哲仁 (たからだ てつひと)

現職:株式会社ファーマプランニング シニアコンサルタント


1983年 持田製薬株式会社入社

27年間品質保証業務を経験、この間、製造管理者・品質保証責任者等経験

2016年独立行政法人医薬品医療機器総合機構

GMP・GCTP調査(シニア調査員等)の他、アジアトレーニングセンターにて東南アジア諸国等の査察官指導体制の確立及び運用に関わる

2021年 学校法人東京理科大学研究推進機構総合研究院究

ヒト細胞加工製品のQbDアプローチ関連の研究支援の他、知識管理・品質文化に関する研究

2023年 現職にて、GMP・GCTPコンサルティング(PMDA/FDA対応等)


過去、日本製薬工業協会(JPMA)品質委員会GMP部会委員、ICHでJPMAの専門家として Q7、Q8R、Q9、Q10のガイドライン/Q&Aの作成、PIC/S WGにてAnnex 2A作成、厚生労働科学研究等でGMP省令改正案、GMP監査マニュアル等の作成に関わる。

 現在、継続して、国立保健医療科学院医薬品医療機器の品質確保に関する研修で講師の一人として都道府県の薬事監視員教育に関わる。公益財団法人神戸医療産業都市推進機構外部アドバイザー(GCTP関連)