典型的なリスクアセスメントとリスクコントロールのワークフローがAppendix 1に示されています。
図4では,製造(設備)の部材やシステムに対するリスクアセスメントとリスクコントロールのワークフローが示されています。
製造部材/システムについては,すべての抽出物ピークが当該医薬品に適用される分析評価閾値(AET:Analytical Evaluation Threshold)以下であり,かつクラス1浸出物が認められない場合,溶出物リスクは最小限であり許容可能とみなすことができます(5章)。抽出物試験に用いる分析手順は,4.3項に規定された基準(別途解説)に適合していなければならないとされます。
一方,部材/システムに由来する抽出物がAETを超える濃度で認められた場合,これらの抽出物の同定および濃度の定量を実施し,溶出物リスクを低減することになります。抽出物の定量は,同定された抽出物と同一と同定された標準品(後述の真正標準品)に基づいて行う必要があります。真正標準品が存在しない場合には,類似の分析応答を示す化合物を代替として用いることができるとされます。この方法で定量された抽出物濃度が関連する許容安全性レベル(6章)を下回る場合,溶出物リスクに関連する安全性懸念は無視できるものとみなされます。AETを超える濃度での製造設備由来抽出物の適格性評価に代えて,溶出物の安全性評価を実施することも可能となります(4.4項)。
※AET:抽出物または溶出物が安全性評価のために同定,定量,報告されるべき閾値