ICH Q3E (E&L) ガイドライン案の公開について(その4)

Date

2025-09-19

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典型的なリスクアセスメントとリスクコントロールのワークフローがAppendix 1に示されています。
図4では,製造(設備)の部材やシステムに対するリスクアセスメントとリスクコントロールのワークフローが示されています。

製造部材/システムについては,すべての抽出物ピークが当該医薬品に適用される分析評価閾値(AET:Analytical Evaluation Threshold)以下であり,かつクラス1浸出物が認められない場合,溶出物リスクは最小限であり許容可能とみなすことができます(5章)。抽出物試験に用いる分析手順は,4.3項に規定された基準(別途解説)に適合していなければならないとされます。

一方,部材/システムに由来する抽出物がAETを超える濃度で認められた場合,これらの抽出物の同定および濃度の定量を実施し,溶出物リスクを低減することになります。抽出物の定量は,同定された抽出物と同一と同定された標準品(後述の真正標準品)に基づいて行う必要があります。真正標準品が存在しない場合には,類似の分析応答を示す化合物を代替として用いることができるとされます。この方法で定量された抽出物濃度が関連する許容安全性レベル(6章)を下回る場合,溶出物リスクに関連する安全性懸念は無視できるものとみなされます。AETを超える濃度での製造設備由来抽出物の適格性評価に代えて,溶出物の安全性評価を実施することも可能となります(4.4項)。

※AET:抽出物または溶出物が安全性評価のために同定,定量,報告されるべき閾値

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執筆者

寶田 哲仁 (たからだ てつひと)

現職:株式会社ファーマプランニング シニアコンサルタント


1983年 持田製薬株式会社入社

27年間品質保証業務を経験、この間、製造管理者・品質保証責任者等経験

2016年独立行政法人医薬品医療機器総合機構

GMP・GCTP調査(シニア調査員等)の他、アジアトレーニングセンターにて東南アジア諸国等の査察官指導体制の確立及び運用に関わる

2021年 学校法人東京理科大学研究推進機構総合研究院究

ヒト細胞加工製品のQbDアプローチ関連の研究支援の他、知識管理・品質文化に関する研究

2023年 現職にて、GMP・GCTPコンサルティング(PMDA/FDA対応等)


過去、日本製薬工業協会(JPMA)品質委員会GMP部会委員、ICHでJPMAの専門家として Q7、Q8R、Q9、Q10のガイドライン/Q&Aの作成、PIC/S WGにてAnnex 2A作成、厚生労働科学研究等でGMP省令改正案、GMP監査マニュアル等の作成に関わる。

 現在、継続して、国立保健医療科学院医薬品医療機器の品質確保に関する研修で講師の一人として都道府県の薬事監視員教育に関わる。公益財団法人神戸医療産業都市推進機構外部アドバイザー(GCTP関連)