ICH Q3E (E&L) ガイドライン案の公開について(その7)

Date

2025-10-01

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内容

3.6項は,リスクレビューとライフサイクルマネジメントです。
この項では,ライフサイクルにおける溶出部プロファイルの再評価を必要としうる変更についてです。

新規の情報:材料の使用の適格性に関する新規のデータ/情報が懸念を示す場合,または溶出物に関する新たな患者に対する安全性情報が得られた場合は評価の更新が必要となる可能性がある。
製剤処方の変更:既存の処方が接触する製造部品/システム、一次包装、または投与デバイス部品から、異なる溶出物を生じさせる可能性がある。例えば、賦形剤や界面活性剤の組成や濃度の変更は、溶出物の組成および量の双方に影響を及ぼす可能性がある。
容器密閉系、デリバリーデバイス、または製造部材・システムの変更:原薬および/または製剤と接触する部材に関して、組成、サプライヤー、製造工程、形状または材料の前処理といった既知の変更が生じた場合(特に液剤や生物由来製品の場合)、溶出物プロファイルが変化する可能性がある。さらに、一部の製品においては、直接接触しない包装部材が医薬品に潜在的な溶出物をもたらす可能性もある。
製造工程の変更:工程条件の変更は、既存の製剤接触部材から異なる溶出物や異なる量の溶出物を生じさせる可能性がある。例えば、溶媒系の変更、時間、温度、圧力、pH、洗浄/滅菌工程、表面積/体積比、運転前準備(例:フラッシング)などが、溶出物の組成および量の双方に影響を与え得る。
患者曝露に影響を及ぼす可能性のある変更:薬剤の投与方法(posology)、治療期間、投与経路、患者集団(例:高齢者/小児)といった変更は、既知の溶出物に対する患者曝露の推定値を変化させる可能性があり、それらは曝露アセスメントおよび溶出物の毒性リスクアセスメントにおいて前提とされた根本的仮定に影響を与え得る。 患者ベネフィット:リスクに影響を与える可能性のある適応症の変更:例として、腫瘍学的疾患からリウマチ性疾患への適応変更が挙げられる。

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執筆者

寶田 哲仁 (たからだ てつひと)

現職:株式会社ファーマプランニング シニアコンサルタント


1983年 持田製薬株式会社入社

27年間品質保証業務を経験、この間、製造管理者・品質保証責任者等経験

2016年独立行政法人医薬品医療機器総合機構

GMP・GCTP調査(シニア調査員等)の他、アジアトレーニングセンターにて東南アジア諸国等の査察官指導体制の確立及び運用に関わる

2021年 学校法人東京理科大学研究推進機構総合研究院究

ヒト細胞加工製品のQbDアプローチ関連の研究支援の他、知識管理・品質文化に関する研究

2023年 現職にて、GMP・GCTPコンサルティング(PMDA/FDA対応等)


過去、日本製薬工業協会(JPMA)品質委員会GMP部会委員、ICHでJPMAの専門家として Q7、Q8R、Q9、Q10のガイドライン/Q&Aの作成、PIC/S WGにてAnnex 2A作成、厚生労働科学研究等でGMP省令改正案、GMP監査マニュアル等の作成に関わる。

 現在、継続して、国立保健医療科学院医薬品医療機器の品質確保に関する研修で講師の一人として都道府県の薬事監視員教育に関わる。公益財団法人神戸医療産業都市推進機構外部アドバイザー(GCTP関連)