2024年12月、FDA(米国食品医薬品局)は、Overton Brooks VA Medical Center(ルイジアナ州シュリーブポート)における無菌および非無菌製品の製造現場を対象とした査察を実施しました。そのFDA Form 483に記載された主な観察事項について解説いたします。
観察事項1:危険物質の取り扱いと交差汚染のリスク
無菌製造環境(ISO-5クラス)の中で、フルオロウラシル50mg/mlの製造中に以下の事例が発生しました。
- 製造担当者が、誤って必要な量を超えて製品を廃棄してしまい、誤廃棄された製品をハザード廃棄物用の容器から再取得。その際、廃棄容器は約1/4程度まで様々な危険物質で満たされていた。
- 回収後、薬剤師は適切な洗浄や除染手順を行わずに製造工程に再投入し、結果として製品の再製造を余儀なくされました。
観察事項2:グローブ交換と手指除菌の不徹底
複数の工程で、薬剤師が無菌エリア(ISO-5環境)から一度エリア外へ出た後、再び戻る際に手指の除菌やグローブ交換を怠る事例が確認されました。
- ルコボリン製造時:
- ISO-5作業領域から部品を取り出し、廃棄後に手指を除菌せずに再び作業エリアへ復帰。
- 外部でラベルの確認を行った際も、同様に除菌せずに戻るケースが発生。
- エンフォルツマブ・ヴェドチン製造時:
- 顔面マスクの調整のために一時的にエリア外に出たが、除菌せずに再度作業に戻る。
- シューカバーが落下し、床から拾い上げた後、除菌もグローブ交換も行わずに作業再開。
- グローブ交換の手順:
- 交換時に古い外側グローブを新しいグローブに接触させるなど、交差汚染を招く不適切な方法が確認された。
観察事項3:メディアフィルの不備
無菌製品の最終包装としてIVバッグや注射器を使用する製造工程において、培地充填試験(無菌製造のシミュレーション試験)が適切に実施されていない点が指摘されました。
- メディアフィルでは、通常は最も困難でストレスの多い条件下で無菌製造の再現が求められますが、実際には複数回の移し替えが行われ、定められた試験プロトコルから逸脱していたと報告されています。
なお、翻訳は正確でない可能性があります。正確な詳細情報は原文をご参照ください。