GCTP省令はGMP省令にように改正されないか?

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2025-02-17

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GMP省令は、2021年8月に改正版が施行されたのはご存知のとおりです。グローバルに整合することと、検討以前に発生した不正製造問題に対応するために策定され、PQS、QRMやDIが加わっています。もっとも、PIC/S加盟前に通知レベルでQRMがGMPの一部として追加されており、今改正で省令に統合されたといったところです。

GCTP省令は、再生医療等製品が法に登場することを受けて公布されたわけですが、当時、GMP省令より一歩進んで、QRMやPQR等が入っていました。その影響もあってかGMP省令とは条ズレが生じ多少不便な印象ですが、カテゴリーが異なるので問題にはなりません。GCTP省令が検討された当時は、PIC/S GMPにQRMが登場していたわけですが、まだ、PQSはありませんでした。その後PQSが登場し、今度はGMP省令が一歩進んでの2025年2月現在、GCTP省令が改正されて同じレベルになるのはいつかという関心がもたれます。改正GCTP省令案は、前のブログにあるように治験製品GCTPと同タイミングで、同じ検討班で既に作成され、研究代表者から監麻課に提出されています。従って、治験製品宜しくGCTP省令もあとは発出のための事務処理次第ということになりますが、現時点で発出にかかわる正式な情報は得られていません。筆者はこの検討班にあって、たたき台の作成に関わりましたが、現GMP省令をみれば、読者の方はどのような形になるかは想定できるところです(検討班の成果物は治験製品GCTPと同じリンク先)。強いてGCTPの特徴と言えば、大きくは参考品と安定性モニタリングで、再生医療等製品独特の対応が必要となります。その他、省令上の文言ではなかなかわからないところ、製造現場では諸々解決すべき課題があるでしょう。バリデーションについては、GMP省令でのバリデーション指針に対して、再生医療等製品の施行通知にバリデーション等基準がありますが、「等」にはベリフィケーション(治験薬GMPのベリフィケーションとは別次元)が含まれ、このベリフィケーションは承認事項に直結する概念となります。

ファーマプランニングでは、再生関連の三極対応ギャップ分析の業務が増加しつつあり、ありがたいところですが、若干他極と比較すると…、FDAはいわゆるCGTP(CFR Title 21, Chapter I, Subchapter L, Part 1271, Subpart D)の§1271.150に規定されています。基本的には、CGMPもベースとしています。その他、Guidance for Industry “CGTP and Additional Requirements for Manufacturer of HCT/Ps”でQ&A形式に解説されています。EUにおいては、EudraLex Volume 4(GMP)の一部でPart IVがあり、いわゆるATMP GMPと言われるものです。関連して、PIC/SではAnnex 2AがPIC/S版のATMP GMPとなり、EU版とは相当程度内容が異なります(作成された経緯による:PIC/Sは医薬品のGMPをベースとして上乗せする考え)。PIC/S Annex 2Aは理論的には国内査察の参考としてリスクベースで考慮されうるものなので、改正GCTP省令案検討班では、Annex 2Aとのギャップ分析を行いました。大きな違いは出荷で、Annex 2AにはDecentralised Sitesという概念があり、例えば病院の近く等でサイトを持っていち早く患者様に届ける体制の枠組みを設けていますが、これはPIC/Sなので、管轄当局の規制が当然優先されます。Decentralised Sitesでは、その中でResponsible Siteを定義し、そこのAuthorised Person(EUのQP相当)がリリースを含めて他のサイトを管理するというものですが、現在の日本の許可に係る規制にはそぐわないものになっています。特に再生医療等製品では患者様の利益を考慮した体制ではあると思いますが、当局含めたステークホルダー間での議論が将来的課題となります。

開発面においては、欧米では日本のようにベリフィケーション項目という概念がないので、製品開発では医薬品と同様の考え方になります。再生医療関連はICHの対象になっていませんが、日本を含めたグローバルの流れを見ていると、企業ではCQA、CPP、QRM等Q8の概念が定着しつつあり、なかなかパラメータの特定が難しい性質をもつこういった製品では、かえってQbDアプローチの概念の活用が効果的なのかもしれないという印象を受けます。

再生医療関係については、引き続きブログを追加予定です。

執筆者

寶田 哲仁 (たからだ てつひと)

現職:株式会社ファーマプランニング シニアコンサルタント


1983年 持田製薬株式会社入社

27年間品質保証業務を経験、この間、製造管理者・品質保証責任者等経験

2016年独立行政法人医薬品医療機器総合機構

GMP・GCTP調査(シニア調査員等)の他、アジアトレーニングセンターにて東南アジア諸国等の査察官指導体制の確立及び運用に関わる

2021年 学校法人東京理科大学研究推進機構総合研究院究

ヒト細胞加工製品のQbDアプローチ関連の研究支援の他、知識管理・品質文化に関する研究

2023年 現職にて、GMP・GCTPコンサルティング(PMDA/FDA対応等)


過去、日本製薬工業協会(JPMA)品質委員会GMP部会委員、ICHでJPMAの専門家として Q7、Q8R、Q9、Q10のガイドライン/Q&Aの作成、PIC/S WGにてAnnex 2A作成、厚生労働科学研究等でGMP省令改正案、GMP監査マニュアル等の作成に関わる。

 現在、継続して、国立保健医療科学院医薬品医療機器の品質確保に関する研修で講師の一人として都道府県の薬事監視員教育に関わる。公益財団法人神戸医療産業都市推進機構外部アドバイザー(GCTP関連)