まだ、それほど件数はありませんが、ネットではリーンGMPシステムが議論されています。GMPガイドラインの誤解/曲解から、本来そこまでやらなくとも良いのにいわゆる過剰な体制をとり、結果リソース不足に喘いでいるという状況があります。このような事例では漠然と過剰と思いつつもどこが無駄なのかがわかっていない場合が多いでしょう。
先ず、規制要件に適合するのは当然の事で、それを前提としつつ、その上での議論となります。読者の方々は、査察で規制要件の議論はどれ位を占めるとお思いでしょうか。筆者の調査員の経験では一割もなく、ほぼ、製造所の裁量の範囲又はそれに近い領域での議論ではないかと思われます。これは、要求事項であるWhat to do?に対して、How to do?の次元と言われます。
Investigatorなら、Best practiceと呼んでいるものでしょう。ところが、(「GMP監査マニュアル」の作成で議論になったのですが)査察官や監査者はどこまで規制のメカニズムを理解し、製造所の裁量を尊重しているかは議論の余地があり、現にその指導に問題を抱えている製造所は少なくありません。
そこで、その製造所にとっての最適な解を評価するのがリーン製造規範で、ファーマプランニングでは、2023年よりLean PQS Assessment(LePA)©を実践し、製造所のGMP/GCTP体制のギャップ分析をしています。数値データのほぼない品質システムの評価はリーン手法が適しており、現在この分野ではQ-Trioの概念を基調とするのが適しています。ただし、損失コストの危険性もはらむので、規制の正しい理解と、被監査側や監査側両面での十分な経験を有していることがポイントとなります。
強い製造所を創るのは、最大限縛る事ではなく、リソースのパフォーマンスを最大化するための至適環境、そして何より、非合理な側面を排する事にあります。