ICH Q3E (E&L) ガイドライン案の公開について(その5)

Date

2025-09-24

Author
Category
Tags

内容

包装部品/システムに関しては、患者の安全性リスクが既に得られている知識により十分に低減できる場合(例:抽出物/溶出物相関が確立されている場合、承認済製剤と同様の溶出傾向を有する類似医薬品製剤がある場合)、あるいはAETを超える抽出物が認められず、または認められたとしても適用される安全性閾値(例:クラス3溶出物〔6章〕)未満である場合には、簡略化データパッケージが考慮され得るとしています(Appendix 1:この後のシリーズで解説)。簡略化データパッケージを提案する場合には、アプローチの整合を図るため、関連する地域の規制当局とのコミュニケーションが推奨されます。

一方、同定された抽出物が化学分解や製剤成分との相互作用を介して、より高い安全性リスクを有する化合物に変化する可能性がある場合、あるいは適用されるAETを超える全ての抽出物ピークが十分に同定または定量され得ない場合には、これらの懸念に対応し、部材の受容性を実証するため、溶出物試験を実施する必要があります。

※包装部材/システムのワークフローは図5となりますが,ここでこの案に対して疑問点が生じます。

  • 標的となる溶出物を特定するための抽出物試験に求められるものは何か。抽出物試験結果からどのようにして溶出物を特定するか。
  • 中央のフローの最下段に必要に応じて受入基準を設定とあるが,製品品質のアセスメント及び安全性アセスメントの結果問題が解決したとしても受入基準は設定する必要があるか(フローからは必要性があれば設定することになる)。
  • 受入基準設定の条件となる「必要に応じて」の条件は何か。この場合相関プロファイルの評価を経てとなるが,どのような相関プロファイルになると必要となるか。

関連記事

執筆者

寶田 哲仁 (たからだ てつひと)

現職:株式会社ファーマプランニング シニアコンサルタント


1983年 持田製薬株式会社入社

27年間品質保証業務を経験、この間、製造管理者・品質保証責任者等経験

2016年独立行政法人医薬品医療機器総合機構

GMP・GCTP調査(シニア調査員等)の他、アジアトレーニングセンターにて東南アジア諸国等の査察官指導体制の確立及び運用に関わる

2021年 学校法人東京理科大学研究推進機構総合研究院究

ヒト細胞加工製品のQbDアプローチ関連の研究支援の他、知識管理・品質文化に関する研究

2023年 現職にて、GMP・GCTPコンサルティング(PMDA/FDA対応等)


過去、日本製薬工業協会(JPMA)品質委員会GMP部会委員、ICHでJPMAの専門家として Q7、Q8R、Q9、Q10のガイドライン/Q&Aの作成、PIC/S WGにてAnnex 2A作成、厚生労働科学研究等でGMP省令改正案、GMP監査マニュアル等の作成に関わる。

 現在、継続して、国立保健医療科学院医薬品医療機器の品質確保に関する研修で講師の一人として都道府県の薬事監視員教育に関わる。公益財団法人神戸医療産業都市推進機構外部アドバイザー(GCTP関連)