リスクコントロールの3.4.1の特別な考慮点について以下の記載があります。
複数の製造部材,特に同一又は類似の材料で構成されたものは,累積の影響を溶出物リスクとして評価する必要があります。
また,管理戦略には,必要に応じて原薬(液体又は半固形)を保管する容器からの溶出物の可能性も含めなければなりません。
凍結状態の場合は,凍結前及び解凍後の状況の考慮も必要となります。
加えて,生物薬品,バイオテクノロジー応用医薬品では,以下のリスク特定及び低減を含みます。
- 反応1性のある溶出物と処方成分との相互作用の可能性の評価,またそれが,品質,安全性,有効性に悪影響を及ぼす可能性があるかの検討。既知の反応性溶出物によりCQAへの影響が見られる場合には,化学的修飾について可能性のあるメカニズム(変性,凝集又は分解等)を考慮すること。
- 原薬製造では,最終精製工程で溶出物が除去されうるので,リスクアセスメントは通常その後の製造工程にフォーカスする。
3.5項は,申請上の文書の記載に関することです。
申請資料には,製造及び包装の部材/システムについて,実施した抽出物/溶出物試験の正当性、関連する試験報告書、AETを超える物質の安全性評価、および必要なリスクコントロール戦略を含めるべきとしています。
医薬品の有効期間(shelf-life)にわたって,安全性及び品質上の懸念に対応するために十分な溶出物データを提供する必要があります。一般的には,安定性データに整合して溶出物試験結果を提出することは受け入れ可能で,その地域の規制当局の事前の合意により,承認後に追加データを提出することもありうるとしています。
評価手順には,手法の妥当性(検出限界,定量限界,特異性,直線性,精度,再現性等)を含めて記載する必要があります。また,AETを超える全ての抽出物及び溶出物のピークは,化学名,構造,CAS登録番号(可能なら)及び測定されたレベルとともに提出資料に含めます。溶出物(又は適格性の評価に使用された場合は溶出物)については安全性リスク評価を含めます。
品質リスクアセスメントに加え,必要に応じて(4.6項),溶出物と抽出物の相関を申請資料に含めます。さらに,提案されたリスク低減策(包装及びデリバリー部材/システムの予備洗浄又は製造部材/システムの予備フラッシング等)の妥当性を,低減策導入前後の収集されたデータで実証する必要があります。
※ここで,抽出物試験・溶出物試験を終了して,部材を確定した場合にどこまでその部材をCTDに定義するのかという疑問が生じます。部材の材質までか,あるいはその部材のメーカーによっては性質が異なる可能性があるので,型番までかということになります。