品質リスクマネジメントのエキスパート育成 ―シリアスゲームのアプローチから―

2026年4月22日(水)、CPHI Japan 2026にて弊社の高橋大地が表題のテーマで技術セミナーを行いました。以下、セミナーでお伝えした内容をご紹介します。
品質リスクマネジメント(QRM)は、ICH Q9において「危害の発生の確率とそれが発生したときの重大性の組み合わせ」として定義されます。GMP対応において重要なのは、このリスクの考え方をCAPAの根拠として正しく機能させることです。FDAのWarning Letterを見ると、「リスク評価が不十分」という指摘が改善策の否定と直結するケースが多く見受けられます。リスク評価はGMPシステムの土台であり、その土台が弱ければCAPAそのものの信頼性が揺らぎます。
QRMは特定の専門家だけが担うものではなく、経営層から現場担当者まで組織の全階層が身につけるべき思考の型です。しかし、GMP教育にはひとつの大きな制約があります。人は失敗を通じて学ぶ生き物ですが、GMPにおける失敗は患者の健康に直結するため、意図的に現場で失敗させることはできません。この「失敗から学べない」という構造が、QRMエキスパートの育成を難しくしている本質的な理由です。
そこで注目しているのが「シリアスゲーム(Serious Games)」というアプローチです。社会的目的を持つゲーム全般を指すこの概念は、学術研究においても従来の座学と比べて学習成果や知識の維持において有意に高い効果が示されています。座学で知識をインプットし、実践でアウトプットする、その中間に位置して学習者の行動変容を促す橋渡し役がシリアスゲームです。
弊社ではこのアプローチを教育ブランドGMP Meister®として提供しています。「GMP Meister Training for Auditors」は仮想空間の3Dプラントを舞台にしたGMP監査シミュレーションで、AIチャットボットが被監査側として対話しながらリスク分析・評価の実践経験を積むことができます。また「Risk Valley」は5〜6名のチームでハザードの起案から評価・投票までをゲームとして体験するデジタルカードゲームです。熟練度を問わず参加でき、振り返りの議論が深まると好評をいただいています。
Risk ValleyはGMP Meister公式サイト(https://gmp-meister.com/risk-valley/)にて公開中です。ぜひ研修にお役立てください。
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