【FDA Warning Letter】原料試験未実施等への指摘

2024年12月18日、FDAは、インド・ラジャスタン州ビワディに所在するBhargava Phytolab Private Limitedの製造施設に対し、CGMP(医薬品の適正製造基準)の重大な違反を指摘する警告書を発行しました。これは同年7月に行われた現地調査の結果を受けたもので、指摘事項は大きく次の四つに分かれています。

まず原薬に関しては、潜在的に有害な不純物を含む原料の試験が十分に行われていないことや、サプライヤーの証明書にのみ依拠している点が問題視されました。またプロセスバリデーションが実施されておらず、均一に品質を保つための管理が不十分とされています。

次に製剤では、(b)(4)システムと呼ばれる製造用水の循環設備に死角があり、バイオフィルムの発生リスクが高い設計であることが指摘されました。加えて、無菌充填工程については、商業生産時の最悪ケースを想定した培地重点試験の未実施が問題となり、無菌性保証の手順不足が強調されています。

さらに、同社が輸出予定としている化粧品についても、2022年に施行されたModernization of Cosmetic Regulations Act(MoCRA)を含む関連法令を順守する必要があるため、製造管理体制の抜本的な見直しが求められています。

詳細は、当該WLを参照ください。

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/compliance-actions-and-activities/warning-letters

(GMP Meister編集部)

【FDA Warning Letter】サプライヤーの承認体制

このたび、米国食品医薬品局(FDA)はインド・ハイデラバードに所在するAkron Formulations India Private Limitedに対し、医薬品の製造工程に関する重大なcGMP違反を指摘するWarning Letterを発行しました。

Akron Formulations India Private Limitedは、品質管理部門(Quality Unit、以下QU)を適切に設置せず、必要な権限や責任が十分に確立されていないとしてFDAに指摘されました。具体的には、医薬品の製造に使用される原料等のサプライヤーをQUが承認・却下できる体制を構築していない点が問題視されています。とりわけ、APIのサプライヤーの選定・評価が不十分であり、製品出荷当時にFDAの輸入警告(Import Alert)が発令されていた業者からAPIを調達していたことが明らかになりました。

業者の一つは、水質管理に重大な問題(農地を流れた河川水を開放タンクで保管し、適切な検査もしていない等)が認められ、Import Alert 66-40に登録されていました。また、その他の業者では、FDAの海外拠点検査を拒否したことでImport Alert 99-32および66-79に指定された経緯があります。これら業者からのAPIが複数の製品に使用されており、QUの役割である供給業者の評価や受入時の品質確認が不十分であったと指摘されています。

詳細は、当該WLを参照ください。

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/compliance-actions-and-activities/warning-letters

(GMP Meister編集部)

【FDA Warning Letter】未承認の製品を販売

米国食品医薬品局(FDA)は、2024年1月上旬にテキサス州オースティンにあるXO Biologix社の施設を査察し、その結果を踏まえて12月12日付で警告書を発行しました。対象となったのは、同社が販売・流通している「MaviX™」という羊水由来の製品です。FDAによれば、この製品は未承認の新薬かつ未認可の生物製剤に該当しており、連邦食品医薬品化粧品法(FD&C法)と公衆衛生法(PHS法)に違反していると指摘されています。さらに、製造工程における適正製造基準(CGMP)の重大な違反が認められ、製品が「混入や品質管理上の問題を抱える恐れがある状態」であるともされています。

また、製品の使用説明書(IFU)と分析証明書(COA)の間で、形状(液状なのにパッチ状であると示唆)や有効期限(3年と5年の表記が混在)について不一致があり、いずれも十分な安定性データが提示されていない点も問題視されました。こうした誤解を招く表現は、製品を誤表示(ミスブランディング)状態にする行為にあたるとされます。

詳細は、当該WLを参照ください。

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(GMP Meister編集部)

【FDA Warning Letter】経営陣と品質部門(QU)の監督責任

2024年12月16日、米国食品医薬品局(FDA)は、Indoco Remedies Limitedの製造施設に対しCGMP違反を指摘する警告書を発行しました。主な問題は微生物試験の不備や無菌製造工程のバリデーション不足、設備管理上の欠陥など多岐にわたります。特に、こうした不備を見過ごした背景として、品質部門(QU)の監督が十分に機能していないことが大きな懸念となっています。

品質部門は、本来、医薬品の品質(安全性と有効性)を守る要として、試験データの正確性や設備環境の適切さを厳しく確認し、不具合があれば速やかに原因を究明して再発防止策を講じる責任があります。ところが今回の指摘では、データの警告メッセージを見落としたり、苦情調査で科学的根拠が不十分なまま結論を下したりするなど、品質部門が果たすべき役割に大きな抜け落ちが見られました。特に2023年の査察でも同様の問題が指摘されているため、品質部門だけでなく経営陣の管理体制を含む品質システム全体の抜本的な見直しが求められています。

詳細は、当該WLを参照ください。

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/compliance-actions-and-activities/warning-letters

(GMP Meister編集部)

【FDA Warning Letter】査察の妨害

米国食品医薬品局(FDA)は2024年12月17日、カナダ・オンタリオ州ニューマーケットに所在する製造所に対し、CGMP(医薬品の適正製造基準)違反および査察妨害を理由とする警告書を発行しました。査察の過程で、従業員への叱責や書類提出の遅延など検査を制限・妨害する行為が確認されたほか、製造工程における試験や管理手順の不備、カビ混入など重大な品質上の問題も指摘されています。製造所は該当製品の一部を自主回収しましたが、苦情調査の範囲や原因究明が不十分とされ、FDAはさらなる是正措置を要求しました。また、原材料の適切な試験や設備・在庫管理、バリデーション不足など、複数の違反事例が挙げられています。加えて、同社が製造する一部の製品は化粧品としても扱われる可能性があるため、不衛生な環境下での製造が懸念されるとも指摘されました。

詳細は、当該WLを参照ください。

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(GMP Meister編集部)

「革新的製造技術が医薬品開発を変える──FDAの新ガイダンス『先進的製造技術指定プログラム』とは?」

2024年12月にFDAが「Advanced Manufacturing Technologies Designation Program Guidance for Industry」を公開しました。このガイダンスは、革新的製造技術(AMT)を取り入れた医薬品開発を促進するものです。

AMT(Advanced Manufacturing Technologies)とは、医薬品の製造工程における革新的な技術を指します。 連続生産技術や3Dプリンティングなどが想定されています。

AMTとして指定を受けるためには、「FDAが経験の少ない技術であること」や、モデル医薬品を用いた検証データを通じて品質維持や開発期間短縮の効果を示す等の要件があります。AMTとして指定されるとFDAとの協議や審査が優先される等の措置があります。Emerging Technology Team(ETT)やCBER Advanced Technologies Team(CATT)のサポートを活用することも推奨されています。

2032年10月1日までが申請受付期間です。

詳細は、参考情報のガイダンスを参照ください。

(GMP Meister 編集部)


参考情報

FDAが工程内試験及びサンプリングに関するドラフトガイダンスを発出

米国食品医薬品局(FDA)よりドラフトガイダンス「Considerations for Complying With 21 CFR 211.110 Guidance for Industry」が2025年1月に公開されました。医薬品の製造工程内管理やサンプリングについて解説しています。

21 CFR 211.110はバッチの均一性と医薬品の品質保持を目的とした項目です。本ガイダンスでは特に、先進的な製造技術(3Dプリンティングや連続生産など)を導入する際の留意点や、プロセスモデル活用の考え方について言及がなされています。

本ガイダンスによると、工程内試験は製造プロセスの「重要な段階」に合わせて計画し、品質管理部門(Quality Control Unit)の承認または却下が行われる必要があります。従来型のバッチ生産では工程ごとに試験のタイミングを設定しやすい一方、連続生産では中間製品を簡単に区切れない場合があります。そのため試験やサンプリングをどこで、いつ、どのように実施するかを科学的根拠に基づき選定し、モデルやPATなどとうまく組み合わせることが求められます。

また、設計されたプロセスのモデルだけに頼った管理は、想定外のトラブルやモデルの前提条件が崩れた場合に不適合品の検出が困難になる恐れがあることにも言及しています。したがって、モデルを活用する場合でも必ず工程内試験を取り入れ、モデルの妥当性を随時検証しながら品質を担保することが望ましいとされています。

詳細は、下記リンクのガイダンスを参照してください。

(GMP Meister 編集部)

https://www.fda.gov/media/184825/download

ICH Q8/Q9/Q10に関する質疑応答集の改訂版のリリースについて – 寳田 哲仁

Q8/Q9/Q10に関する質疑応答集は、ICHのQuality Implementation Working Groupで作成され、国内では、2010年9月に事務連絡として出されたところですが、今回、ICHで改訂版がリリースされました。(2024年10月30日付)なお、現時点で和訳版は出ていません。

最初にリリースされてからこの間、時代に合わなくなった事項やQ9の改訂等があり、今回の改訂に至ったものですが、承認日が2024年10月と表記されているのが改訂された質疑応答であることがわかります。

RTRTの№5      回答の後半追加:CPPと原料物性が組み合わされた特定の状況下(この場合は製品個々にという意味合い)で、RTRTが発揮されているという意図が加わっている。
PQSの№1 ベネフィットで1項目追加:知識主導(Knowledge-driven)で客観的なリスクアセスメントの効果追加 ⇒ Q9(R1)の観点からの追加

因みに、この質疑応答集では、査察の種類に、product-related inspectionとsystem-related inspectionが解説されており、当社のGMP Mesiter® Training for Auditorsの中で、製品特異的事項とシステム関連事項として解説しているものと同義ですが、製品特異的事項では査察員と審査員の連動や製品個別のCQAとCPPにフォーカスすることが、システム関連事項では品質システムの機能のフォーカスすることがポイントとして挙げられています。