2026年8月20日(木)・21日(金)の2日間にわたり、GMP監査員養成を目的としたシミュレーショントレーニングを実施しました。ご参加くださった皆様に、心より感謝申し上げます🍀
AI・3Dシミュレーション・ドキュメンテーションで学ぶ、実践型監査トレーニング
本講座は、Web学習、AIシミュレーション、3Dプラントツアー、ドキュメンテーション監査、監査レポート作成を組み合わせた実践型のGMP監査員養成プログラムです。今回は固形製剤の製造所を想定し、受講者自身が監査員役となって、現場の観察、質問、記録の確認、監査所見の整理までを体験しました。
固形製剤の製造工程を題材としながら、講座で重視したのは個別工程の知識だけではありません。監査対象を広く確認しつつ、リスクが考えられる点は深く掘り下げること、相手を尊重しながら分かりやすく質問すること、そして得られた事実を客観的な監査報告につなげることです。
■監査は「指摘を探す場」ではなく、品質を確認する活動
GMP監査の目的は、単に不備やルール違反を見つけることではありません。患者さんの安全と医薬品の品質を守るために、製造所の仕組みと実際の運用を客観的に確認し、品質リスクを把握して、必要な改善につなげていくことです。
そのため監査員には、規則や手順を知っているだけでなく、現場で起きていることを観察し、相手の説明を聞き、記録と実態を照らし合わせて判断する力が求められます。監査先を「指摘される側」としてではなく、品質向上に向けて課題を確認するパートナーとして捉える姿勢も重要です。

■監査員に求められる5つの力
- 調査の網羅性:限られた時間の中で、監査対象を偏りなく確認する力
- 質問・行動の適切さ:相手を尊重し、伝わる言葉で質問を組み立てる力
- 監査証拠の客観性:見たこと、聞いたこと、記録で確認したことを事実として整理する力
- 監査所見の妥当性:監査基準と証拠を照らし合わせ、論理的に所見を導く力
- 結論と次の行動:良い点と課題の全体像を示し、改善や取引判断につなげる力
講義冒頭では、質問を一部の領域に偏らせず「広く、必要なところは深く」確認すること、また、監査員が上位の立場に立つのではなく、相手と適切にコミュニケーションを取ることの重要性が共有されました。。


■事前学習
集合研修の前には、GMP Meister® Academyを活用したWeb学習とAIシミュレーションに取り組んでいただきました。監査の目的、固形製剤の製造工程、質問方法、現場確認の着眼点、記録レビューの基本を事前に学ぶことで、当日は「何を見るか」「何を聞くか」を自ら考えながら演習に入ることができます。
AIシミュレーションでは、想定される監査場面で質問を組み立て、回答から追加確認すべき事項を考えます。自分のペースで繰り返し練習できるため、監査経験が少ない方にも、集合研修に向けた準備として活用いただけます。
■AIシミュレーションで質問力を鍛える
監査では、質問の仕方によって得られる情報が大きく変わります。
同じ内容を確認する場合でも、質問が曖昧であれば十分な情報は得られません。一方で、相手の説明を聞きながら適切に深掘りすることで、手順と実態の違いや、品質リスクの兆候に気づくことができます。
AIシミュレーションでは、監査場面を想定した対話を通じて、質問の組み立て方を練習します。
受講者は、AIに対して監査時の質問を投げかけながら、次のような点を確認できます。
- どのような聞き方をすればよいか
- どのタイミングで深掘りすべきか
- 相手の回答から何を確認すべきか
- 追加で確認すべき記録や手順は何か
- 監査所見につながる情報かどうか
AIを活用することで、受講者は自分のペースで何度でも練習できます。
集合研修前に質問のイメージを持っておくことで、当日のシミュレーションでより実践的な学びが得られます。
■3Dプラントツアー
仮想現場で「見る・聞く・考える」を体験
3Dプラントツアーでは、仮想の製造プラントをモニターに投影し、受講者が監査員として現場を確認します。
テーブルにはトレーナーが配置され、製造所側の対応者役として受講者からの質問に対応します。
受講者は、実際の監査員として、次のような流れを体験します。
- 監査対象エリアを確認する
- 気になる点を観察する
- 製造所側の担当者に質問する
- 回答内容を記録する
- 必要に応じて追加質問を行う
- 記録や手順との整合性を考える
- 監査所見として整理する
このように、単に講師の説明を聞くだけではなく、受講者自身が監査員として行動することが、本講座の大きな特徴です。
■1回のトレーニングで「監査3回分」の経験を凝縮
倉庫エリア、製造エリア、試験エリア、ドキュメンテーション監査など、複数の監査場面を短期間で体験します。
各セッションでは、監査員役を交代しながら、
見る → 聞く → 記録する → 考える → まとめる
という流れを繰り返します。
実際の監査では、経験を重ねることで少しずつ視点が磨かれていきます。
その経験を短期間で効率的に積めるように構成しています。
他の受講者の質問や着眼点を聞けることも、集合研修ならではの学びです。
自分では気づかなかった確認ポイントや、異なる業種・部門の視点に触れることで、監査員としての視野が広がります。
■1日目:3Dプラントツアーで固形製剤工場を監査
1日目は、仮想の固形製剤工場をモニターに投影し、受講者が監査員として現場を確認する3D監査シミュレーションを実施しました。トレーナーは製造所側の担当者役となり、受講者からの質問に回答します。
オープニングミーティングでは、製造所の組織、監査履歴、対象品目、工場レイアウト、製造工程、工程管理、試験項目などを確認しました。ここで得られた情報から監査の重点を考え、倉庫、製造、品質管理の各エリアへと進みました。
■倉庫エリアの監査
原材料・資材の受入れから保管、サンプリング、出荷までの「物の流れ」と「情報の流れ」が一致しているかを確認しました。
- 受入検査と承認された供給者の確認
- 合格品・不合格品・試験中品などのステータス管理
- 原材料の識別表示とサンプリング方法
- 温湿度管理、防虫・防鼠管理
- 出荷作業と記録の整合性
例えば、受け入れた原材料が「正しい品名」であるだけでなく、「承認された供給者・製造所から届いたものか」をどのように保証しているかまで掘り下げます。現場表示、システム、発注情報、受入記録を結び付けて確認することが、品質リスクの発見につながります。
■製造エリア
製造エリアでは、固形製剤特有の工程をたどりながら、設備、作業、工程管理、記録の整合性を確認しました。
- 秤量・液調製
- 造粒・乾燥
- 整粒・混合
- 打錠
- フィルムコーティング
- 外観検査
受講者は、工程ごとの設定値や確認項目だけでなく、原料や人の動線、清掃状態、交叉汚染防止、工程内試験、異常発生時の対応などを確認しました。3D空間を自ら見回し、気づいた点を質問へつなげることで、講義を聞くだけでは得にくい現場感覚を養います。
■品質管理エリア(QC Laboratory)
品質管理エリアでは、試験結果そのものだけでなく、その結果に至る過程とデータの信頼性を確認しました。
- 検体の受領・保管・識別
- 試液・試薬、標準品の管理
- 秤量作業と記録
- HPLCなど分析機器の点検・校正・使用管理
- 保存品・参考品、安定性試験室の管理
- 生データ、計算過程、試験記録の完全性
試験室の監査では、記録に数値が記載されていることだけでなく、その数値がどの生データから、どの計算を経て得られたのかを追跡できることが重要です。受講者は、記録と実際の運用を照らし合わせながら、追加で確認すべき情報を考えました
■2日目:ドキュメンテーション監査で記録を読み解く
2日目は、1日目に確認した現場の情報を踏まえ、製造管理、品質管理、品質保証に関する文書・記録をレビューしました。記録は、作業が適切に実施されたことを示す重要な監査証拠です。形式的に欄が埋まっているかを見るのではなく、記録から工程の状態、判断の根拠、品質リスクを読み取ることを目指しました。
■品質保証の文書・記録
含量試験およびOOSを題材に、試験方法、生データ、計算、判定、調査の流れを確認しました。結果だけを見るのではなく、試験が承認された方法で行われ、データが適切に保管され、異常値が科学的かつ手順に沿って評価されているかを確認しました。
- 変更の目的、範囲、重要度分類、影響評価は妥当か
- 変更前後の同等性や必要な適格性評価・バリデーションが検討されているか
- 関連文書や教育訓練への反映が行われているか
- 逸脱の事実、原因調査、品質影響評価が明確か
- CAPAが原因に対応し、有効性確認や類似事例への展開が行われているか
変更管理では、個々の案件だけでなく、重要度や影響を判断する責任者の知識・経験・教育、さらに承認の仕組みまで見ることが大切です。監査対象の技術に詳しくない場合でも、変更を評価し検証する品質システムが適切に機能しているかという視点から確認できます。
■監査証拠から、所見と結論を組み立てる
講座の最後には、監査報告書の作成方法を確認しました。監査は監査員一人で完結する活動ではなく、監査責任者や依頼部門など、報告を受けて判断する人がいます。そのため、報告書には、監査に同行していない人でも状況を理解し、次の行動を判断できる客観性が必要です。
- 監査基準:GMP省令、手順書、取決めなど、評価のよりどころ
- 監査証拠:現場で見たこと、相手から聞いたこと、記録で確認した事実
- 監査所見:監査基準と証拠を照らし合わせて導いた評価
- 監査結論:製造所の全体像を踏まえ、今後どのような対応を取るかという判断
悪かった点だけを並べるのではなく、何が適切に行われ、どこに課題があり、それがどのような品質リスクや次の行動につながるのかを示すことが重要です。講座終了後、受講者には監査レポートを提出いただき、講師が個別に評価・添削します。一定の基準を満たした方には認定証を発行します。
■おわりに
GMP監査員に必要なのは、知識だけではありません。現場を見る力、相手の説明を聞く力、記録を読み解く力、リスクを判断する力、そして改善につなげるコミュニケーション力が求められます。
第5回 GMP監査員養成講座では、固形製剤を題材に、AIチャットボット、3Dシミュレーション、Web学習、ドキュメンテーション、監査レポート作成を組み合わせ、監査員に必要な力を実践的に学んでいただきました。
GMP教育訓練は、教科書で覚えるものから、自ら考え、質問し、体験しながら身につけるものへと進化しています。ファーマプランニングは、GMP Meister®を通じて、より実務に近く、より効果的なGMP教育の実現に取り組んでまいります。
組織にとってのメリット
- 監査人材を計画的に育成できる
- 供給者監査・委託先監査の質を高められる
- 固形製剤の工程と品質リスクを体系的に理解できる
- 査察対応力と品質保証体制の強化につながる
- 監査結果を改善活動や取引判断につなげやすくなる
- 実際の監査に出る前に、安全な環境で繰り返し練習できる
こんな方におすすめです
- これからGMP監査業務に携わる方
- 固形製剤工場の監査ポイントを体系的に学びたい方
- 供給者監査・委託先監査の質を高めたい品質保証・調達部門の方
- 若手・中堅社員に実践的なGMP教育を受けさせたい教育担当者
監査経験が少ない方でも、事前学習、PDF教材、AIシミュレーション、当日の講師サポートがありますので、安心してご参加いただけます。
GMP Meister® について
GMP Meister® は、GMP教育をより実践的に、より分かりやすく行うための教育プラットフォームです。
動画教材、Web学習、AIチャットボット、3Dシミュレーションなどを組み合わせることで、受講者が自ら考え、確認し、体験しながら学べる環境を提供します。
eラーニングシステム最新価格(90%off)にて4月21㈫スタートしています。
試用版をお試しになりたい方は、こちらから
「CPHI Japan2026」でご紹介しました。ご覧になりたい方はこちらから