【FDA WL】CBERが指摘した臨床試験管理:同意取得、IRB承認、原記録の問題

Date

2026-09-22

Author
Category
Tags

内容

発行部局:CBER / 発行日:2026-08-27 / FDA掲載日:2026-09-08 / MARCS-CMS:728673

警告書の概要

FDAのCBERは2026年8月27日、Stephen J. Fallon, Ph.D.に警告書(MARCS-CMS 728673)を発行し、9月8日に一覧へ掲載しました。2025年6月2~13日の査察で確認した、臨床試験実施者としての試験の実施・監督に関する問題が対象です。

対象試験はINSTI HIV Self-Testの性能、使いやすさ、結果の解釈を評価するProtocol CLS-003です。警告書はBIMO(生物学的研究モニタリング)プログラムによるもので、被験者保護と臨床試験データの信頼性が中心となっています。発行部局がCBERであることを基準に本連載の対象としています。

FDAが指摘した4つの問題

1.同意取得の記録と同意文書の交付

21 CFR 50.27(a)および812.100に関連し、被験者が署名した42件の同意文書のうち35件で、同意日を本人ではなく試験コーディネーターが記入していました。別の1件には同意日の記載がありませんでした。

署名済み同意文書のコピーを求めた被験者に、新たな同意文書への署名を求めたという説明や、コピーを渡していなかったという職員の説明も記載されています。FDAは、参加前に適切な同意が得られたことや、必要なコピーが交付された範囲を確認できないとしています。

2.IRB承認後の同意文書が無承認で変更された

21 CFR 812.110(b)に関して、治験審査委員会(IRB)が承認した同意文書のうち、謝礼の種類、受領できる対象者、受領時期に関する記載が変更され、IRBの承認を得ずに使われていました。警告書は、同意文書の変更を現場だけで実施することの問題を示しています。

3.実施計画書で定めた記録方法と監督の不備

21 CFR 812.100および812.110(b)に関連し、被験者自身がセルフテストの結果を記入する計画だったにもかかわらず、実際には職員が被験者の解釈を聞いて記入していました。FDAは、実施者が試験を通じてこの相違を認識していなかったことを指摘しています。

また、業務委任記録に登録された職員のイニシャルと試験文書上のイニシャルが一致せず、訓練・資格・委任を受けた担当者が実施したかを判断しにくい状態でした。

4.機器の追跡と原記録の保持が不十分

21 CFR 812.140(a)(2)および(a)(3)に関して、試験機器や比較用機器の出荷記録などが保存されていませんでした。受払・交付記録は存在しましたがロット番号がなく、被験者に使用した機器のロットを確認できませんでした。

一部の原記録では修正液が使われ、修正前の記載、修正者、修正日を確認できない状態も記載されています。FDAの指摘は記録の追跡可能性に関するものであり、この情報だけから故意の不正があったと断定することはできません。

回答と是正に関するFDAの要求

FDAは、Form FDA 483への回答がなかったため、指摘に対する説明や再発防止の約束を評価できなかったと記載しています。今後、臨床試験実施者としての参加を継続しない意向があったとしても、警告書の指摘へ回答するよう求めています。回答期限は受領から15営業日で、是正措置、再発防止策、根拠資料、完了までの見通しを含めることが要求されています。

実務への示唆

以下は一般的な試験運営上の考察です。同意文書の版、IRB承認日、実際の使用開始日、署名・日付、被験者への交付を一続きで確認できる仕組みが有用です。現場の便利さを理由に記入者や記録方法を変更すると、評価しようとしている「利用者自身による結果解釈」に影響する可能性があります。

実施計画書と現場作業を照合する点検、業務委任記録と署名・イニシャルの対応、機器のロット別受払、元の記載が読める訂正方法を、試験開始時と運営中の両方で確認することが実務上の要点です。

出典

FDA Warning Letter:Stephen J. Fallon, Ph.D.(2026-08-27)

本記事はFDA警告書の原文を基にAI(Codex)が作成し、原文と照合した解説です。警告書発行時点の指摘と一般的な実務上の考察を記載しています。個別の実務判断では公式原文と適用要件をご確認ください。